鬱への処方箋
残念だが、僕の実感として鬱への万能な処方箋は存在しない。
だが、それぞれに処方箋は存在する。
それに辿り着くのが難しいのだ。
僕も友人も親父も鬱から回復したが、しかしその方法は三者三様であった。それぞれに試行錯誤が必要だった。
精神科医やカウンセラーの治療で治る人もいるが、それは偶然その治療法が、その患者に合っただけという印象しかない。勿論、だから医者は頼りにならないなどと言うつもりはないが、治療の選択肢の一つと割り切った方が懸命だと思う。しばらく様子を見てダメなら他の治療法を試すことをお勧めする。
医者は縦割りの弊害でなのか知らないが、総合的なアプローチをしてくれるわけではない。その辺の事情を書きたいが、長くなるのでまたの機会にする。
同様に、うつ病患者がこれで治ったみたいな本があるが、それもまた、本人には有効であったという一つの事例に過ぎない。
勿論、僕が書く方法もまたいくつかの事例に過ぎない。というか仮説である。なので、試す場合は自己責任でお願いする。
では本題に入る。
鬱への治療法は基本的には3種類に分けられる。
1.薬物療法
2.カウンセリング
3.健康法
簡単に見えるだろう?
だが、ここからがややこしい。
薬物療法で使われる薬は何種類、何十種類とあり、カウンセリングの方法もいくつかある。健康法については言わずもがなだが。
さらに、薬に関しては医者により処方がばらつき、カウンセリングの方法もカウンセラーによりけりだし、相性もあるだろう。
正直カオスである。
と、ここにきて、そもそも論だが・・・
鬱とは何か?
僕は風邪と同じように考えている。
風邪とは発熱や咳、鼻づまりなどの症状が出ている状態であり、その原因は多岐にわたる。そのほとんどは、原因が特定されるわけでもなく、「風邪ですね。」と”診断”される。
鬱も同じようなものだ。問診票のチェックリストが一定数埋まれば、「鬱の疑いがありますね。」と”診断”される。
ところで、
どうしてあなたは鬱になったのか?
と自問自答してもらいたい。
それが分かれば苦労はしない?
と、そう思っただろう。事実、それは本人にも中々わからないものである。
僕の経験上、精神科医も心療内科医もカウンセラーにも実際はわからないのである。彼らの分野の中で確率の高そうなものを言っているに過ぎない。もし当たれば彼はあなたにとって名医であり、違うなと感じたらさっさと他を探そう。
それに、原因が一つだけとも限らない。
実際、それが効くんだ?と思うこともある。
プラシーボ効果だっていいじゃなか。
ぶっちゃけ、どんな原因も手法も鬱が治れば、本人もその周りの人も救われるのだから。
では、一体どうするればいいのか?
全弾打ってええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!
である。びっくりするほど捻りがなくて申し訳ない。
ただし、薬をチャンポンしろと言っているわけではないので、くれぐれも間違えないで欲しい。そこは医者の指示に従って頂きたい。
薬物療法、カウンセリング、健康法の全部を試してほしいという意味である。
鬱状態からの早期脱出にはこれ以外に思いつかない。原因が簡単にはわからない以上、いろいろ試した方が、良い解決策に当たる確率が格段に高くなるからだ。
では、僕の経験談を紹介しよう。
びっくりするほど王道ではない笑
僕の場合
ちなみに僕は薬を服用したことはないし、カウンセリングを受けたこともない。全部試せと人に勧めた本人がこの体たらくである。そして、その理由も、単に行くのが面倒くさかったからという、どうしようもないものである笑。正直に告白しておく。
僕の鬱に明らかな改善が見られたきっかけは、整体に通いつめ全身の筋肉をほぐし姿勢を治したことだった。特殊な整体で、足の先から、腕、お腹、口の中までと文字通り全身へ施術してもらった。めちゃくちゃ痛かったのだけれど。
身体がほぐれるにつれ、姿勢が治るにつれ、僕は人体の快適さを実感した。自分でも、びっくりするほど、それまで僕の身体は動きが悪かったのだ。ストレッチでどうのこうのできるようなレベルではなく。
要するに僕は、姿勢が悪いせいで肺のスペースが狭くなり呼吸が浅く、さらに、バランスの悪い体を支えるために筋肉が無理をして硬くなり、寝ても疲れがとれないという状態が恒常化してしまっていたのだ。
身体の調子が戻ってから数か月後には精神的にもかなり調子が良くなった。
僕の友人の場合(彼とは親友である)
彼の場合は、薬もカウンセリングも経験済みだが、芳しい効果はなかったようだ。ちなみに彼は、抗うつ薬の名前を聞けばだいたいどんな薬かわかるそうだ。
彼の場合は、一日のなかで決まった時間に体調が悪くなるというパターンがあった。本人もそれに気が付き、食事に関係がありそうだと推測していた。
そんなある日、僕がたまたまNHKの番組で血糖値の特集をやっているの見て、それが彼のいう不調のパターンと似ているのを発見した。
どうやら、血糖値が上がりやすい体質というのがあるらしい。食後はすぐに血糖値があがるので、心臓がバクバクする。食後しばらくするとその血糖値が下がるので、今度は頭がクラクラするらしい。
食事を改善し食後の運動をすることで、それまでは体調不良で一日中ベッドで過ごす日もあった彼だったが、元気になり、無事に大学を卒業、就職した。
余談だが、現在の彼は仕事を辞めて、元気に彼女持ちのニートを満喫し、海外に語学留学を計画中だ笑。
元気になったらなったで、こんな感じだ笑。
僕の親父の場合
親父は薬、カウンセリングを経験済み。薬は今も少量を服用。カウンセリングは効果がなかった。
親父に改善の兆しが見られたのは、鬱の人が集まるグループに参加したことだった。自分の親父に言うのもなんだが、親父には親友と呼べる人がいなかった。親父の地元の友達は僕も何人か知っているが、多分、本当に気の合う親友はいなかったのではないだろうか。母親とも気が合うとは言い難い。
鬱の人はわかると思うが、というか、鬱経験者にしかわからないと思うが、鬱の人の気持ちを鬱ではない人が理解することはほぼ不可能である。この溝は深い。そして、それは鬱ではない人からは見えない故に残酷である。
親父がそのグループで、どのような人と知り合い、どのような会話をしているかは、僕のあずかり知らぬことではあるが、そのグループの月に1度の食事会には欠かさず参加しているのを見ると、親父も気に入っているようだ。
そして、親父は回復に向かった。
鬱から回復して、それまでできなかった趣味の山登りをまた楽しそうに始めた親父を見かけたときは、僕は正直、涙で前が見えなかった。
さて、ここからは僕の経験ではないが、
元アナウンサーで、映画評論家の妻である
丸岡いずみ著「仕事休んでうつ地獄に行ってきた」(Amazonへリンク)
を紹介したい。
詳しくは読んで頂くとして、彼女は薬で治った例である。優秀な方は治療法も模範解答なんだなと思う次第である笑。
これは僕の推測に過ぎないが、鬱になった原因が一時的な過度のストレスの場合は、薬物療法が効果的なのではないか。
もう一つ、
カウンセリングの例としては、プロインタビュアー 吉田豪著
「サブカル・スーパースター鬱伝」(Amazonへリンク)
の中の誰かを忘れてしまったが、カウンセリングを押している人がいたので、一応紹介しておく。
僕は結構楽しく読めたクチなので、読み物としてもお勧めしたい。吉田豪がサブカル界隈の鬱経験者にインタビューしてそれをまとめてあるので、いろいろな人たち(全てオジサン)のそれぞれの鬱が垣間見えて面白い。鬱になった本人はたまったものではないが、正直、他人の鬱は意外と楽しいものである。
鬱は、そう、大人の階段を上るようなもの。
吾輩は鬱である。
正確に言うと、鬱であった。
名前はあるが、別に言わない。
10年ぐらい、ぼんやりとした不安というか、生きているのが激しく面倒くさかった。
そうこうしている間に、友人が鬱になり、親父も鬱になった。
といってもこれは暗いブログではない。
僕はここ一年ぐらい本当に調子がいい。治ったようだ。
友人も治ったし、親父もかなり回復している。
10年ぐらい鬱々した挙句僕は、鬱も思春期のようなもので、誰しもが経験するであろうことであり、イニシエーションなのだと思うようになった。
それに、鬱にまったくならない人もまた逆におかしいので、一度カウンセリングを受けるべきじゃないのか?ぐらいに思っている。
そういう人の中には鬱の種を周りにまき散らしている人がいるので、僕としては早く本人にも鬱になることを切に願っている。まあ、そういう人は絶対に鬱にならずに一生を終えるのだろうなとも思うのだけれど・・・
僕はなんの自慢にもならないが、自分の鬱、友人の鬱、親の鬱と身近で色々経験した人間なのだ笑。その経験が、読者の方の役に立てば嬉しい限りである。